塗料

塗料の分野の違いについて

こんにちは。あさばらです。

この記事では、塗料及び塗装業界内に存在する、分野の違いについて記述していきます。

建築用塗料、工業用塗料、自動車補修用塗料とか色々あるけど、違いが分からない!って人に向けて、それぞれの分野がどういった物を塗っている分野なのかを説明していきます。

是非最後まで読んでみてください。

塗装と塗料

〇〇塗料と〇〇塗装。この二つの表現について説明します。

自分でも書いてて「あれ?どっちで表現しよう」と思うことがあるので、このブログ内においては、〇〇塗料という表現を主軸に書いていくことにします。

理由は私が

1.塗料を販売している人間だから

2.今後、塗料の比較や紹介が多くなると思われるから

3.塗装の座学はあっても塗装技術はないから

という3つの理由からです。

ちなみに整理しておくと、

工業用塗料 = 工業塗装に用いる塗料

建築用塗料 = 建築塗装に用いる塗料

自動車補修用塗料 = 自動車補修に用いる塗料

一般家庭向け塗料 = DIY等、一般家庭で使用する塗料

こんな括りになります。

しかし、建築用塗料が工業塗装に用いられることもあれば、自動車補修用塗料が建築現場で用いられることもあり、その分野向け塗料を、定められた分野で使用しなければならないわけではありません。

あくまでメーカーがその分野向けに設計、開発した塗料というだけですので、スペックや仕様が合えば、どの塗料で何を塗っても良いのです。

工業用塗料

工業用塗料は、工業製品を塗装するために作られた塗料です。

「そもそも工業製品って何?」という方が多いですよね。それが分かっていたらこの記事自体不要です。

工業製品とは、工場等で、材料を消費、加工して製造される物品のことを指します。例を以下に列挙してみます。

スマートフォン通信機器
自動車、自動車部品自転車、自転車部品
鋼製家具家電製品
制御盤、キュービクル工作機械及び部品
店舗用ショーケース空調設備
計測機器アーケードゲーム機

等々……

今思いつくだけでも、上記のようなものが列挙できます。

これらの製品を、塗装することで美観の向上性能付与耐久性向上を図るのが工業用塗料です。

上記の製品を想像してみてください。

例えば、洗濯機のメインボディは鉄板で、大体の人は白を思い浮かべると思います。あのボディが、鉄板むき出しの灰色だったらどうでしょうか。

見た目的にも冷たい感じで、一般家庭内に置くには印象が悪いですよね。

加えて、水を用いる洗濯機なのに、金属がむき出しの場合、すぐに錆びてしまうかもしれません。

美観だけでなく、防錆力(錆びにくくする力)を高めることができるのも、塗装の利点の一つです。

工業用塗料の種類は星の数ほどあります。

理由としては、その製品向けに独自開発されたものも有る為です。

深堀すると面白いのですが、長くなるので、工業用塗料については別の記事で詳しく解説いたします。

建築用塗料

建築用塗料は、文字通り、建築物に塗る為の塗料です。

建築物にも色々ありますが、一般家庭住宅、商業施設、ビル、公共施設等、建物に対して塗る物は全て建築用塗料と言えます。

最も需要が多いのは外装用の塗料です。内装用塗料も存在しますが、臭気の問題などから、内装を塗装メインで仕上げるということはほぼ無いです。

建築用塗料のほとんどは、常温乾燥、または常温硬化の塗料です。

工業用塗料は、工場で塗装し、高温の熱で焼き付けるものも多いですが、建築物に塗装した場合、熱をかけることはできません。

既に完成した建造物に屋外で塗装する場面が多いため、なるべく簡単に、間違いが起きにくいものが好まれます。

そのため、建築用塗料は、ユーサビリティ(使いやすさ)に優れた塗料が多い印象にあります。

※カーテンウォール、化粧板といった、パーツ単位で塗装して組み付けるものは、建造物向けではあるのですが、工場で焼付塗装をすることが多いため、本ブログではカーテンウォール用の焼付塗料は工業用塗料として扱っています。

自動車補修用塗料

自動車補修用塗料は、文字通り自動車外装の補修をするための塗料です。

自動車板金塗装のお店や、ガソリンスタンド、カーディーラーで使用されます。

工業、建築に比べ、毎年業績が落ち込み続けている業界です。

理由は、最近の車は事故が起きにくいからと言われています。

確かに、SUBARUのアイサイトを始め、各自動車メーカーは衝突安全システムの開発、導入が当たり前になりました。それにより、車の外装を傷つける事故というのは、年々減っているようです。それ自体は素晴らしいことですね。

また近年では、マイカーの外装が傷ついても、補修せずにそのまま乗ってしまうか、ある程度の大きさの損傷になると、すぐに新しい車に乗り換えてしまうという人が多くなってきていることもあり、自動車補修業界の売上低迷に拍車がかかっています。

自動車補修用塗料は、最近ではほとんどが2液性のウレタン塗料です。常温でも乾燥、硬化しますが、ゴミの付着リスクを低くするためにも、強制乾燥(50~100℃程度の低温熱を短時間与える)で硬化促進をしている業者様が殆どだと思います。

一般家庭向け塗料

一般家庭向け塗料は、DIY等の一般家庭で素人が施工する前提で販売されている塗料です。

その為、建築用塗料と同じく、使いやすさに重点を置いている塗料も多い傾向にあります。

一般家庭向け塗料は、ホームセンター等で簡単に購入することができます。最近では、カインズやコメリ等の量販店が大量に仕入れて激安で販売しています。色やスペックの条件さえ合えば、同じ2液性ウレタン塗料でも、業務用の塗料販売店の卸値よりも安く購入できることもあります。

(おそらく、ホームセンター側から卸売業者に対して、激烈な値下げ交渉があるんだと思います。可哀そうに……)

最近では、新型コロナウイルス万円に伴い、自宅での巣篭り需要が高まって、この一般家庭向け塗料の業界は好調なようです。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

工業用塗料、建築用塗料、自動車補修用塗料、一般家庭向け塗料の違いが、なんとなくイメージできたでしょうか。

業界内で上記のように分かれてはいるものの、塗料のメカニズム、構成要素的にはどれも共通した部分があります。

また、どんなに業界、用途が分かれていても、どの塗料にも一定の技術が必要であり、塗装業者様の塗る技術によって、塗料業界全体が支えられています。

余談ですが、私が主に取り扱っている工業用塗料でも、建築用塗料、一般家庭向け塗料のようなユーザー目線での技術進化がより一層進んでくれればと願うばかりです。

最後まで読んで頂き、ありがとうございます。